毎日くだもの200グラムメールマガジン
□■ くだもの&健康ニュース Vol.183
■◇ 2019年6月7日(金)配信
こんにちは!
今号では、サプリメントより果物を勧める科学的根拠を紹介してい
ます。
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毎日くだもの200グラム以上食べましょう!
公式ホームページは下記です。
http://www.kudamono200.or.jp
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<<< 本日のメニュ− >>>
・ 季節の便り
・ くだものレシピ:アンズ
・ くだもの広場:「30年度果物の消費に関する調査」(連載第4回)
・ 文献紹介:果物や野菜は有益、サプリメントは無益か有害
・ 文学の中の果物:日本その日その日(エドワード・モース:石川欣一訳)
・ くだものいちば
・ 編集部より
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■ 季節の便り
一村は杏と柳ばかりかな
− 正岡子規
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■ くだものレシピ:アンズ
○ ウズベキスタン 干しあんずのご飯
ウズベキスタンのオゾタさんのおすすめのご飯料理です。アンズ
とニンジンの甘さに鶏肉を煮込んだウズベキスタン風リゾットです。
材料
干しアンズ 15個(好みの量)、鶏肉 1枚、ニンジン 2本、玉ねぎ
小1個、サラダ油 100cc、米 2合
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
https://cookpad.com/recipe/4473843
○ ルッコラとドライ・フルーツのパスタ
ルッコラの微妙な苦味とドライ・フルーツの甘味が上手くマッチ
しています。夏向きの一品。
材料(2人分)
ドライ・アプリコット(干しアンズ) 6個、レーズン 大さじ3杯、
松の実 大さじ2杯、ルッコラ 一掴み、ニンニク 一欠けら、エクス
トラ・ヴァージン・オリーブ・オイル 適当、パスタ 200g、岩塩。
作り方とできあがりの写真は下記のサイトにあります。
https://cookpad.com/recipe/54181
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■ くだもの広場:「30年度果物の消費に関する調査」(連載第4回)
前回に引き続いて、中央果実協会が毎年行っている「果物の消費
に関する調査」の30年度の結果の概要について紹介します。今回が
結果概要の紹介の最後となります。
リン:前回は、「果物の消費に関する調査」のうち、果物の摂取意
向について紹介してもらったけど、今回は何について教えても
らえるのかな。
おじさん:今回は、果物を購入するときに何を基準にして決めてい
るかなどについて、紹介することにしよう。まずは、果物を購
入しようと思うきっかけについては、「果物の価格が思ってい
るより安かったとき」という回答が 65%で最も高く、次に
「売られている果物が美味しそうだったとき」が53%、「好
きな種類のくだものが売られているとき」が48%の順になっ
ているんだ。
ミカ:この傾向は男性も女性も同じなのかな。それとも、男性と女
性では購入するときのポイントが違うのかな。
おじさん:男性と女性別にみると、購入しようと思うきっかけは、
男性も女性も全体の順番と同じで、「果物の価格が思っている
より安かったとき」、「売られている果物が美味しそうだった
とき」、「好きな種類のくだものが売られているとき」の順番
になっている。ただ、この3つの項目すべてで、男性よりも女
性が、この項目を選んでいる人の割合が高いんだ。例えば、
「果物の価格が思っているより安かったとき」を選んでいるの
は、男性が58%なのに対して、女性は70%になっている。
リン:男性よりも女性の方が、買うときのきっかけが、よりはっき
りしているということだね。
おじさん:そういうことだね。次に、買おうとしたときに困ったこ
とは何かについて聞いた結果は、「買おうとした果物のうちど
れが美味しいのか見分けられない」、「買おうとした果物の鮮
度を見分けられない」という回答が、いずれも30%を上回り、
次いで「買おうとした果物が安いのか高いのか、適切な価格が
分からない」、「いつが食べ頃なのかが分からない」が30%
を少し下回ってわずかな差で続いている。
ミカ:最近は、スーパーなどで、「糖度」が表示されていることが
多くなっているから、こうした表示を参考にして買うこともい
いかもしれないね。
おじさん:「糖度」の表示の話しが出たけど、果物の機能性表示に
ついて聞いたところ、みかんやりんごの機能性表示を見たこと
があるという人は、約1割だったけど、果物の機能性表示があ
れば多少高くても購入する、または価格水準が変わらなければ
購入すると答えた人は約5割いたんだ。
リン:今回の果物の消費に関する調査では、果物を毎日摂取する人
の割合は26%と、まだまだ低いようだけど、一方で、健康に
よいから摂取を増やしたいという人は多くいることも分かった
ので、これからは、美味しい果物、新鮮な果物の見分け方や機
能性表示など消費者ニーズにマッチした情報を適切に提供して、
さらに消費を拡大していくことが大切だね。
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■ 文献紹介:果物や野菜は有益、サプリメントは無益か有害
機能性成分(ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなど)を単独
あるいは複数摂取しても生活習慣病の予防には役立たないとして、
アメリカ国立心肺・肺・血液研究所や国立衛生研究所などによって
開発された食事重視のダッシュ(dash)ダイエットでは、毎日くだ
ものを握り拳5個摂取することを推奨しています。ミカンなら5個、
リンゴなら2個半です。その科学的根拠に関する論文を紹介します。
セルビア、ニス大学の研究チームは、抗酸化サプリメントが死亡
率にどう影響するのかについて系統的な解析を行い、「コクランデ
ータベース系統レビュー誌」に発表しました(文献1)。
研究では2011年までに報告された抗酸化サプリメント(β-カロ
テン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、セレン)に関連するヒ
トを対象とした無作為介入試験のデータを対象にメタ解析を行いま
した。解析ではバイアスのリスクを考慮しました。
解析対象者は、296,707人で、抗酸化成分は、単独、またはビタ
ミンやミネラルなどと組み合わせて経口投与されました。摂取期間
は、28日から12年で、平均3年でした。
その結果、全体として抗酸化サプリメントは、死亡率に影響を及
ぼしませんでした。ただし、バイアスのリスクが低いと評価された
信頼性の高い56件の試験では、抗酸化サプリメントは死亡率を有意
に高めることが分かりました。
また、一次予防または二次予防のための抗酸化サプリメントの効
果を裏付ける証拠は見つかりませんでした。さらに、β-カロテン
とビタミンEのサプリメントは死亡率を高めることが分かりました。
一方、ビタミンCやカロテノイドは果物や野菜に多く含まれてい
ることから、この成分値が多いことは、果物と野菜を多く摂取して
いる証拠となります。そのため、近年ではビタミンCやカロテノイ
ドは、どんな食品をどれくらい食べているかの食事摂取マーカ(バ
イオマーカー)として位置づけられています。
ノルウェー、ノルウェー科学技術大学などの研究チームは、食事
由来のバイオマーカーとしてのビタミンC、カロテノイド、ビタミ
ンEと心血管疾患、ガン、死亡リスクとの関係についてメタ解析を
行い、バイオマーカーが豊富な果物や野菜の豊富な食事の摂取の重
要性が明らかになったと「アメリカ臨床栄養雑誌」に発表しました
(文献2)。
研究の結果、ビタミンCマーカー量が高いと冠動脈心疾患、脳卒
中、心血管疾患、全ガン、全死因死亡率の低下が認められました。
カロテノイド(β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサン
チン、リコピン)およびα-トコフェロールマーカー量の多い食事
は、冠状動脈性心臓病、脳卒中、心血管疾患、全ガン、死亡率と逆
相関を示しました。
以上の結果から、果物や野菜のバイオマーカーを豊富に含む栄養
価の高い食品の摂取は心血管疾患、全ガン、死亡率のリスクの減少
に関係していることが分かりました。この結果は、生活習慣病の予
防のために果物や野菜の摂取を勧めるダイエット法(ダッシュダイ
エットなど)を支持しています。同時に、抗酸化サプリメントの使
用は支持しないと著者らは結論づけています。
【文献】
1) Bjelakovic, G. et al.: Antioxidant supplements for prevention
of mortality in healthy participants and patients with
various diseases. Cochrane Database Syst. Rev., 14: CD007176.
(2012) [doi: 10.1002/14651858]
2) Aune, D. et al.: Dietary intake and blood concentrations
of antioxidants and the risk of cardiovascular disease, total
cancer, and all-cause mortality: a systematic review and
dose-response meta-analysis of prospective studies. Am J. Clin.
Nutr., 108: 1069-1091. (2018) [doi: 10.1093/ajcn/nqy097]
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■ 文学の中の果物:日本その日その日(エドワード・モース:石川欣一訳)
天井には長い棒から蚕(かいこ)の卵をつけた紙片が何百枚とな
くぶら下っていた。これ等はフランスに輸出するばかりになってい
る。紙片は厚紙で長さ十四インチ、幅九インチ、一枚五ドルすると
いうことであった。いい紙片には卵が二万四千個から二万六千個ま
でついている。紙片は背中合せにつるしてあって、いずれも背に持
主の名前が書いてある。横浜の一会社が卵の値段を管制する。この
会社は日本にある蚕卵をすべて買占め、ある年の如きは卵の値段を
つり上げる為に、一定の数以上を全部破棄した。この家の持主らし
い男は中々物わかりがよく、我々は通弁を通じていろいろと養蚕に
関する知識を得た。彼には奇麗な小さな男の子がある。私は日本に
来てから一月になり、子供は何百人も見たが、私が抱いて肩にのせ
さえした子供はこれが最初である。家の人達はニコニコして、うれ
しがっていることを示した。
磨き上げた黒い歯を持つ既婚の婦人達は、外国人にとってぞっと
する程驚く可きものである。最初に黒磨料をつける時、彼等は色が
よくしみ込むようにしばらく唇を離している。このように唇を引き
離していることはやがて癖になる。とにかく、彼等はめったに唇を
閉じていない。若い男が扇子を持ち出して、我々に名前を書いてく
れといった。私が私の分に虫や貝を沢山書いてやったら、彼は大い
によろこんで、返礼に菓子を一袋呉れた。砂糖漬の杏(プラム)は
うまかったが、他の砂糖菓子は何等の味もしないので、外国人には
うまいとは思われぬ。
【著者紹介】
エドワード・モース(1838年〜1925年、享年87歳)は、アメリ
カの動物学者。標本採集に来日し、請われて東京大学の教授を2年
務めた。大森貝塚を発掘し、日本の人類学、考古学の基礎をつくり
ました。
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■ くだものいちば
今回は、東京都中央卸売市場豊洲市場に入荷している果物を紹介
します。入荷量が多いのは、リンゴ、メロン、スイカなどです。
[旬の果物と産地]
リンゴ(ふじ)は青森産です。
ウンシュウミカンは佐賀産です。
ビワは長崎産です。
ブドウ(デラウェア、巨峰)は大阪、福岡産です。
モモ(日川白鳳、はなよめ)は福岡、静岡、山梨産です。
スモモ(大石早生、など)は佐賀、和歌山産です。
サクランボ(佐藤錦)は山形産です。
ウメ(南高)は群馬、和歌山、神奈川産です。
メロン(アールス、アンデス、クインシー、レノン、ハネデュー)
は静岡、高知、茨城、メキシコ産です。
スイカは千葉、熊本、高知、茨城、群馬産です。
「くだものいちば」は青果物市況情報を参考に作成しています。
https://www.seisen.maff.go.jp/seisen/bs04b040md001/BS04B040UC010SC999-Evt001.do
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■ 編集部より
今号では、サプリメントと果物の健康効果について紹介しました
が、こうした研究結果を消費者に伝えるための食品表示の研究も行
われています。その結果、ノルウェーなどでは果物の消費量が増え
ました。今後、こうした国の食品表示法についても紹介します。(tnk)
5月最後の土日は、全国的に記録的な暑さとなりました。昨今は、
短い春から一気に夏になってしまうような年も多くなってきている
ように思いますが、せめて、周りの花や木、美味しい果物で季節の
移り変わりを少しでも味わうようにしたいものです。(EK)
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◆発 行◆
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